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歯ぎしり・くいしばりの影響と対処法

滋賀県草津市の歯医者、Sono Dental Clinicおとな&こども歯科、院長の越後です。今回は、「歯ぎしり・くいしばりの影響と対処法」についてお話をしていきます。

【結論】

歯ぎしりやくいしばりは、日常生活では気づかないうちに歯や顎、全身に大きなダメージを与えることがあります。しかし、原因を正しく理解し、専門的な対処を行えば、症状の進行を防ぎ、健康的な生活を取り戻すことが可能です。歯や顎のトラブルを未然に防ぐためにも、早期の対策と予防が重要です。

【目次】

  1. 歯ぎしり・くいしばりとは何か?
  2. 起こる原因と現代人に増えている理由
  3. 歯や顎に与える深刻な影響
  4. 歯ぎしり・くいしばりのセルフチェック方法
  5. 当院で行っている専門的な対処法
  6. 日常生活でできる予防と対策
  7. お子さまの歯ぎしりについて
  8. よくある質問Q&A
  9. まとめ

1. 歯ぎしり・くいしばりとは何か?

歯ぎしり(ブラキシズム)とは、無意識のうちに上下の歯を強くこすり合わせる行為のことを指します。一方、くいしばりは、歯を強く噛みしめる状態を指し、どちらも多くは睡眠中や集中している時に無意識で起こります。

これらは一時的な癖と思われがちですが、実際には歯・顎・筋肉・関節・さらには全身にまで悪影響を及ぼす可能性のある「疾患」として認識するべきです。

2. 起こる原因と現代人に増えている理由

原因は多岐にわたりますが、代表的なものは以下の通りです。

  • ストレス:仕事や人間関係による精神的ストレスは、無意識のうちにあごに力が入ることがあります。
  • 噛み合わせ異常:歯の高さや顎のズレが原因で噛み合わせが悪くなると、咬筋に無理な力がかかります。
  • 睡眠障害:浅い眠りや中途覚醒が歯ぎしりの頻度を高めるとされています。睡眠時無呼吸症候群との関連も指摘されています。
  • 日中の姿勢やクセ:パソコンやスマホの使用による前傾姿勢、唇を噛む、頬杖なども、噛みしめ癖を悪化させる要因です。

現代社会では、精神的・身体的ストレスが多く、またデスクワーク中心の生活で姿勢が悪化しがちです。そのため、以前に比べて歯ぎしり・くいしばりに悩む人が増加傾向にあります。

3. 歯や顎に与える深刻な影響

歯ぎしりやくいしばりを放置すると、以下のようなさまざまな問題が生じます。

  • 歯の摩耗・破折:歯がすり減って形が変わったり、ヒビが入ったり、最悪の場合は割れてしまうことも。
  • 知覚過敏:象牙質が露出し、冷たいものがしみるようになります。
  • 詰め物・被せ物の脱離・破損:せっかく治療した歯も再治療が必要になることがあります。
  • 顎関節症:口を開けると音が鳴る、痛みがある、開きにくいなどの症状が出る場合もあります。
  • 筋肉の緊張や痛み:肩こり、首こり、頭痛、眼精疲労の原因となることも。

これらの影響は、必ずしも自覚症状として出るわけではないため、定期的な歯科検診がとても大切です。

4. 歯ぎしり・くいしばりのセルフチェック方法

以下のチェックリストで、あなた自身やご家族が歯ぎしり・くいしばりの可能性があるか確認してみましょう。

  • 朝起きたとき、顎がだるい、疲れている
  • 歯がすり減って平らになっている
  • 頬の内側や舌に歯型がついている
  • 肩こり・首こり・頭痛が慢性的にある
  • 知覚過敏があるが虫歯ではない
  • 家族やパートナーに「寝ているとき音がする」と言われたことがある

1つでも当てはまる方は、早めに歯科医院での診断をおすすめします。

5. 当院で行っている専門的な対処法

Sono Dental Clinicでは、以下のような治療・対策を組み合わせて提供しています。

■ マウスピース(ナイトガード)療法

就寝時に専用のマウスピースを装着して、歯への負担を軽減します。オーダーメイドなので違和感も少なく、長期的に効果が期待できます。

■ 噛み合わせの診断と調整

咬合バランスが崩れている場合、わずかな高さの調整で症状が緩和することがあります。

■ ボツリヌス療法(咬筋ボトックス)

筋肉の過剰な緊張を和らげ、くいしばりを軽減する治療です。安全性が高く、一定期間で効果が見られます。

■ 生活指導とカウンセリング

原因がストレスや生活習慣にある場合、スタッフが個別にアドバイスを行います。睡眠環境や姿勢の改善も重要です。

6. 日常生活でできる予防と対策

自宅でできる対処法も効果的です。

  • 就寝前のリラックス習慣:ぬるめのお風呂・アロマ・深呼吸などで、筋肉と神経をリラックスさせましょう。
  • 姿勢の改善:正しい姿勢を意識することで、咬筋の緊張を緩和できます。
  • ガムを噛まない:日常的にガムを噛む習慣がある方は、一時的に控えてみましょう。
  • 「歯を離す」意識:上下の歯は、本来安静時は触れていないのが正常です。日中、上下の歯が当たっていないか、意識してみましょう。

7. お子さまの歯ぎしりについて

子どもの歯ぎしりは、大人と異なり、成長過程の一部であることもあります。しかし、強すぎたり、日中にもみられる場合は注意が必要です。

  • 成長にともなう噛み合わせ調整で起こることもあります
  • ストレスや不安、睡眠の質も影響するため、生活環境の見直しが効果的
  • 永久歯に悪影響が出る可能性がある場合は、歯科医院での相談をおすすめします

8. よくある質問Q&A

Q. 歯ぎしりは治るものですか?

A. 完全に「治る」と言い切ることは難しいですが、適切な対処によって症状の軽減やコントロールは可能です。

Q. マウスピースは毎晩使うべき?

A. 基本的には毎晩装着するのが理想です。継続使用で、歯の摩耗や筋肉の緊張を防ぎます。

Q. ボトックス治療は安全ですか?

A. 医療用に認可された製剤を使用し、専門的な知識を持つ医師が行うことで、高い安全性が確保されます。

9. まとめ

歯ぎしり・くいしばりは、一見小さなクセに見えて、歯科的・全身的に多くの問題を引き起こします。しかし、専門的な診断と治療、そして日常の意識改善によって、十分にコントロール可能です。

放置することで、歯の破折や顎関節症など重篤な症状に進行することもあるため、「気になるな」と感じた時点での受診がとても大切です。

当院では、症状に応じて複数のアプローチを組み合わせた最適な治療をご提案しております。歯ぎしり・くいしばりが気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。